グレーディング 覚え書

最近は、ログで撮影して、編集後、グレーディングして仕上げるというのが多いです。
ほいで、私もちょこちょこですがやることがあるので、
独学ですが、学んだことを書きます。

ラットを使わない方がいい時もある

グレーディングするときは、
だいたい、ラットというもんを載せます。
すると、撮影したログの映像が、パッと変わります。
雰囲気も色味も。

それでやりゃ、まー楽なんですし、一定の基準に乗っとるんで
間違いではないのですが、
そのラットを当てた色味を一度見てしまうと、
正しくは、ログからの変化の瞬間を見てしまうと、
はて、私は何をやろうとしていたのか、
どこを目指そうとしていたのかわからなくなってしまうのです。

ほいで、
私は、ラットを当てずに、自分で、彩度調整し、
そのあと、ハイ、ミディアム、ローごとにコントラストやらを調整しました。

グレーディングは記憶の色の再現だ

で、自分の脳で見た記憶の色の再現をしていくんです。

一度、ラットを当ててしまうとダメです。
これが正しいのかと思うと、どう直していいのか、進む方向を迷ってしまうのです。

私は、実際の色味と、脳で記憶した色味というのは全く違うと思います。
脳が施す色の演出には、雰囲気というものが織り込まれているからです。

雰囲気を色で表現する 匂い・湿度・温度を伝える

どういう色味にするかでいともたやすく物語が変わってしまう。
埃や匂いが変わってしまうのです。

ですので、色の好みで作ってはならないのです

どんな色にするかじゃない どんな雰囲気にするかだ

ハリウッドの色味が好きだから
赤下げて青あげるってのは、そりゃあ、結構なことですが、
それって大丈夫なの?ってとこです。

理想とする日本人の肌色を目指す

我々日本人は黄色人種が多い。
そして、自分の肌が、黄色いことにややコンプレックスを抱いている。

大事な人間の肌がどう映るかなのではないでしょうか?

また、黄色がべたっとなると、正気を失った肌になる。

そんなこんなで、私は、
日本人女性がいる場合は、実際よりは少し白い肌色を作ります。
赤みは、少し頰がポッと暖かくなるくらいがいいです。
男性には、ゴツゴツした力強さが出るように。

が、個人差があるので、
骨ばっていない男性の場合は難しかったりします。

これまでの映像が作ったなんとなくの共通認識

黄色味が強いと懐古だったり貧しさが出たりすることがあります。
青味が強いと未来ぽかったりします。
青味が強く、暗いと、不安ぽい感じになります
これらは、、おそらく、今までたくさん作られてきた映像によって出来上がった
概念、共通認識かと思うのです。

そしてそれは、作り手が作ったものではなく、
見た側が作り出しているものと考えます。

 

まとめると

グレーディングで大事なのは、

●好きな色味で作らないこと
●物語の匂いや温度、湿度が伝わる色合いを目指す
●独創的な色味を模索せず、共通認識を大事にする

 

 

それと・・・

画面全体を一度にグレーディングできると思ってはならない

 

色味を作るときは、全体の色を変えてしまいます。

しかし、そこにあったものによって人物の肌や洋服に色が照り返している時があります。
ものすごく赤い花が顔の近くにあったり、
キンキラキンの屏風があったりしてそうなったことがあります。

映画でしたら、照り返さないようにその場で照明を工夫するものですが、
それができなかった場合、もしくは、グレーディング中に気がついた場合は、
ちゃんとマスクを切って調整をするべきです。

プロとは何かということ。
映像なんて今時素人でも作れます。
パソコンさえあれば誰でもできる。

私も素人さんが作った作品で驚かされることが多い。
特に海外からの旅行者が作る日本での旅動画など、
これで素人なのかと思うと、
映像の仕事を辞めたくなる。

結局のところセンスってのはプロだから強いわけじゃないのです。

じゃあ、プロとの線引きはなんなのか?
っていうと、
ちゃんとやるってことしかないと思う。

効率の良さ。
対応の早さ。
親切であること。
丁寧であること。
確実であること。

だからマスク切ったりなどがちゃんとできないとダメと思うんです。