映画「日本の悲劇」を見た

 

2010年7月、父親の年金が生活のよりどころだった長女が父親の死後もその死を隠し続け、年金や給付金を不正に受け取っていたという事件が報じられた。この事件に衝撃を受けた監督・小林政広は“遺書を書くような気持ち”で本作の脚本を書き上げたという。外部との接点をなくした極限状態の家族が、その果てに選ばざるを得なかった究極の愛の形――。『日本の悲劇』は誰の身にも起こりうる私たち家族の物語といえるだろう。

 

あらすじ

大病を患い残り少ない命を悟った父親は、自室を封鎖し食事も水も摂ることをやめる。そんな父親の狂気に混乱し、怒り、悲しみ、呆然とする息子。妻と子に去られた失業中の息子は、未だ生活を立て直せず、父親の年金を頼りに暮らしていた。そんな息子を残し、扉を固く閉じた父親の真意とは……。

公式HPより)

 

この映画は、現代ならではの日本の悲劇を織り上げた物語。
100分という最近の邦画にしては割と短めの長さで、
カット数がめちゃくちゃ少ないです。
数えた人によると、60カットくらいだったということですが、
体感では、20カット位に思えてしまいます。

カット数が短いということは、1カットが長いということです。
単純計算、割り算してみると、ワンカットあたり1分半。
平均してということになりますから、
長いところはもっと長いです。
体感でいうと、1カット5分〜10分という感じなのです。

さらにモノクロなのです。

演劇の舞台をずっと見ているくらいの感覚です。
このシーン、役者さん何ページのセリフを覚えたのだろうというくらいです。

そのトーンで進むのが映画の序盤でわかり、
これを最後まで見ることができるかな?とは思ったのですが、
100分、それすらも短いと感じるくらいで、
それを見せるだけの脚本と、役者さんの存在感に
圧倒されます。

出演が、仲代達矢さん。

私は、三國連太郎さんが好きで、三國さんは怪優だ!と思っていたのですが、
これを見て、仲代さんも怪優だと思いました。

私の勝手な思い込みとして、
三國さんは、The怪優。
仲代さんはそれよりはもう少し柔らかいイメージがあったのですが、
仲代さんも怪優!

三國さんや仲代さんの演技を見ていると、思うことはひとつ。
こういう役者がいなくなったら、
どうなるのだろう。

誰が代わりにその位置に立つのだろう。

この映画は、テーマがとても良いのですが、
少し残念なのは、役者がすごすぎて、
役者を見てしまうことです。

役者とは思わないのですけど。
ものすごく、リアルで、
そう、自分の夢を思い返している感じでした。