【映像・業界】うまい・早い・安い店が生き残るのかと言うと必ずしもそうではなく

私の実家では田植えだとか稲刈り、正月の年越し蕎麦となると、

大抵が昔からお世話になっている近所の食堂に注文しています。

しかし近年、おやっさんの歳も歳で息子が跡を継がない等から、

店をたたむかと話になった事もあったそうな。

今はなんとか昔からのお客さんや地元の人があって成り立っている

経営的には決して明るい状況ではない…

それでもおいしいご飯を食べてもらって喜ぶ顔を見続けたい…

そしてその食堂のご飯はたしかにおいしい。

さて、この背景には食堂を取り巻く環境がここ数十年で劇的に変わった事があげられます。

例えば、大手チェーン店の進出。

うまい・早い・安い

と言えば、大手牛丼チェーン店の重要項目。

現在googleで検索すると私が大好きな吉野家さんが1発目に出て来ています。

店内が空いていれば注文してわずか1分以内にしゃっと出て来て380円。

出先に向かう道中や小腹が空いた深夜にでも…

24時間いつでも一定のクオリティで、

しかも安くおいしい牛丼が提供される…。

よくよく考えると恐ろしい事ですよ皆さん。

私がそのお店で牛丼一杯を食べる為にはですよ、

お肉、米、つゆ…、

加えて器や箸、

紅ショウガ等の卓上の消耗品。

お店のスタッフの人件費や水、電気、ガス等の光熱費、

加えて土地代や店を建てた費用…、

あげ出すと経営上のなんたるかも出てくるんでしょうけども、

ざっと考えてこれだけのものを維持しているわけです。

さらにこの牛丼の物語はさかのぼること良質な牛さんが成長する為のエサと管理する人、

食器類を作る工場やデザイナーやクリエイター…

その途方もないサイクルの中に

私が牛丼を食べて380円を支払うという過程がある…

ありがたい…

私は380円でその恩恵にあずかっているわけですよ。

私が個人でまったく同じ物を作り出すのにいったいいくらかかるのか。

しかも24時間いつでも食べれる状態ですか?

無茶苦茶な企画でしょそれは!

誰だよそんなステキなニーズに応えようとしたわがままは!

ってそんな話をしにきたんじゃないんですよ!

それだけ便利なお店がたくさん出来た事で

小さな食堂は大打撃なんですってこと。

もちろんそれだけが原因ではないですけれども、

環境の変化

これです。

あなたは外食を1ヶ月何度します?

昔って言うと時代によりますが、

車が一家に一台ない時代、

インターネットが手持ちの携帯で見れない時代、

外食なんて贅沢は許されない時代(各家庭の当主による)、

近くでアパートの建設がーってなったら

現場の大工さんらはその食堂に通ったでしょうよ。

今まったく違うでしょ?

今じゃどこ行くの?コンビニですよ。

店頭玄関の模型と予想だけを頼りに

どんな味のもんが出てくるのかわからない店に

1,000円握りしめて入るのは勇気がいる…って時代でしょうか。

※ それがいいんでしょって人は私と一緒に黙認してください。

知らないお店に入るときはwebサイトの書き込みみてだいたい目星つけていくでしょ?

そのサイトにまずいなんて書かれてたら入るかどうか考えるでしょ

情報を直ちに共有できるってこの時代、

ネットで解決できない食の問題をどう解決するかって、

手っ取り早いのはもう完全にこれ。

コンビニ。

コンビニってのは名の通り便利屋ですよね。

食べ物・飲み物、生活必需品やタバコ・酒まで揃ってますから

大工Aさん「あー、タバコ切らしてたー、コンビニ寄るわー」

大工Bさん「おれ今日弁当ないんだわ、ついでにコンビニで買うわー」

このコンビニで買うわーって手軽な流れはいろんな業種に影響与えてますよ。

電池なくなった!で、電気屋さんいきます?

少なくとも「電池なくなる=電気屋さんへ行く」の直結じゃないですよね?

コンビニなんか最寄りにありすぎて電気屋探すよりすぐ見つかる。

今すぐほしい時(それいつやねん)に電気屋探してないでコンビニでしょ。

携帯でインターネットでほらここに電気屋が…いや遠いやんけってなるでしょ大概は。

というか携帯でわざわざ電気屋探してる間にコンビニ着いちゃうよ

しかもちょっと小腹空いて来たな、うーん、チーズまんが食いたい、

え?ついでになんですけども、電気屋にチーズまんあります?

あるわけないでしょーが、電気屋ですよ?

電気が通わない、まして食べるものを置くわけないでしょうが!

家庭内の電気製品に困った時に相談にのって対応してくれるのが電気屋さんですよ!

中途半端な時間に小腹を空かせても我慢しなさい!

だからおまえのお腹は最近たるんできたんだよって、

そんな話をしにきたんじゃないんですよって!

環境の変化。

これです。

ざっくりと「環境の変化」ってみなさんさらっとよく使います?

この言葉って深く考えるとものすごく怖い事なんじゃないですか?

消費者には、さまざまな事において悪く言えば無秩序なまでに「選択肢」が増えました。

その結果、環境の変化に対応できない経営者は淘汰されていきます。

じゃー寿司屋は100円じゃないとやっていけないかってそれはそれで違いますけども。

来週、○○会社の社長と会合だ!社長様は寿司が好みらしいから寿司屋を探してくれ。

と上司に言われて100円寿司の席予約する新人ってどうなると思います?

会合にお互いの会社の資金をかけすぎるなんてアホかって考えの社長様だとしても

寿司好きだからって100円寿司行って4人で5,000円ちょいを

お支払いは弊社が、いやいや弊社が、いやいやいやいや弊社が…

なんて事あるのか!?いや、今の所ありそうにない。

いや、100円寿司の社長様なら…

私がもしこの状況において寿司屋を探すならもちろんすげー高くてすげーうまい店にします。

いや、100円寿司もうまいですけどね!

高いかどうかは置いといても「すげーうまい」は絶対外しません。

そうなると、やっぱり「すげーうまい」店は「すげー高い」のが常です。

その背景にはそこの職人さんの寿司への惜しみない拘りや努力があり、

新鮮でおいしい寿司とは何かをずっとずっと深くまで追求し続けます。

拘りだすと同じ物をたくさん作る事が難しくなってきます。

下手をするとその人にしかできないようになります。

まさしく職人です、もちろん無骨で頑固なタイプ(が好ましい)。

しかし、その意地っ張りが評価されると

どれだけ対価を払おうともここぞと言う時には絶対食べようとします。

これが伝染するとお店は大繁盛、もはや1軒ではお客さんのニーズに応えきれません。

やがて店舗は徐々に全国へ…。

いい話じゃないですか、努力した人が評価を受ける。

売れるビジネスモデルうんぬん…それももちろんなのですが。

では、こと映像業界において、

私は上記のような寿司屋の職人たる技術を持っているのか。

はたまた100円寿司の波にのまれて淘汰されてしまうのか。

「環境の変化」に対応できるのか。

それともその「環境の変化」を起こせるのか。

自問自答と葛藤を繰り返す日々です。

ひとつ言える事は、

それを作るとなった時に私は決して手を抜かない事。

自分がこれだ!と言えるいいモノ作りを心がける事。

そう思いながら本日も夜なべをするわけです。

さて、腹が減ったし吉野家にでもいこうかな。

いや、たまにはおいしい牛丼屋をネットで探してみようかな。

いやいや、おいしい牛丼ってのは…よし、自分で作るか!

そうだ!おいしいお肉をまず探そう!

ちがう!牛を育てればいいのか!

だったらエサはどこから仕入れて…

もー!!!

牛になっちゃうよ…。

イマギッシュより